ロックマンXセイヴァーT - 最終章 - 第九話
第九話
「何故だ!!!何故倒れん!!?何故・・貴様のどこにそんな力が残っていると言うのだ!!
何故ぇぇぇぇ!!!」
ワイリー・カプセルの各部のハッチが開いた−と共に何十発もの実弾・光学兵器が放たれた。
しかし、真面に狙いが定まっていないそれらは、一発たりともセイアに直撃することは無かった。
そしていつしか弾切れを起こし、カチカチと無様な音だけが木霊した。
「貴様なんぞに・・貴様なんぞに・・!!」
セイアは無言で、いつの間にか握っていたセイバーを展開させた。
セイアの光剣では無い。
エックスの肩アーマーに収納されていた、もう一人の兄の武装である、ゼット・セイバー。
しかし、展開されたのは、いつもの蛍光色のエネルギーでは無かった。
絶対的な金色の刃。
振りかぶった時には、その刃は6m先の天井に、届くか届かないか程度まで巨大化していた。
セイアの目に、もう迷いはなかった。
ロックマン・エックスとゼロ。そしてロックマン・セイヴァーの力が、図式だけだとは言え、統合された。
「ソウル・ストライク!!!!」
ゼット・セイバーの金色の刃から、ゼロの幻夢零を思わせるエネルギー波が撃ち出された。
天井から地面までを占める、巨大な刃。
回避しようとしたワイリーの抵抗も虚しく、ソウル・ストライクの刃は、そのままものの見事に、
ワイリー・カプセルを一刀両断にしてみせた。
「消え去れぇぇ!!」
そして、続けざまにセイアの放った、超出力のチャージ・ショットが、
真っ二つに別れたカプセルを、完膚無きまでに包み込んだ。
「ROCKMANめぇぇぇぇぇぇ!!!!」
粉々に砕けている、ワイリー・カプセルの中、狂った老人の声が、
耳にこびりつくほど響いていた。
アルティメット・アーマーが崩れ落ち、中から元の紅いアーマーが姿を現した。
セイアは、握っていたゼット・セイバーを、丁寧な動作でバックパックに差し込むと、
両手で自分の顔を覆った。
「うっ・・うぅ・・・う・・。」
指の間から、大量の涙の雫が滑り落ちる。
セイアは声を殺して泣いた。
もう・・頼れる兄の存在も、あの優しかった笑顔も、何もかも戻ってはこないのだから。