ロックマンXセイヴァーT - 最終章 - 第六話
第六話

ワイリー・カプセルの放った、野球ボール程度のエネルギー弾が、セイアを後方の壁に叩き付けた。
いつもならてんで大した事のない威力の弾でも、今のセイアにとってみれば致命傷だ。
メットが消失しているため、諸に激突を喰らった頭部から、真っ赤な鮮血が流れ始める。
元々青い色をしていたセイアの髪は、鮮血のせいで、ドス黒く変色し始めた。
「ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」
酸素が足りない。
それとも大量の出血のせいだろうか?
目の前の景色から、妙に現実味が失せ始めた。
まるで、今全身に走る激痛も、流れ出る鮮血も、自分にはなんの関係も無い出来事に思えてきた。
−−このままやられたら・・楽になるかなぁ・・?
ふと浮かんだ、自分の芯の部分。
やられてしまえば、どんなに楽か。
そういえば、僕はどうしてこんなに踏ん張っているのだろう?
それは・・それは・・・?
−−必ず戻ってこいよ?今度は勝つかんな?
−−徳川君は私の命の恩人だもの・・。
「ハァ・・み・・・んな・・・。」
僕の帰りを待っている仲間がいる。
僕を僕と認めてくれた・・クラスメイト達がいる。
だから僕は・・。
「ふん・・エックスといい・・貴様といい・・しぶとさだけは天下一品じゃな。
苦しいか?苦しいだろう。今・・楽にしてやる・・。
心配するな・・兄貴にはちゃんと会わせてやる・・。」
立ち上がったセイアの目に映ったのは、カプセルの半分以上を開いて姿を現した、
巨大な銃口だった。
一体どれ程の威力を持っているかは、見当もつかないが、
それを諸に喰らえば、今の自分など、簡単に葬られてしまう事ぐらいは、容易に理解することが出来た。
避けることは出来ない。
今の身体では・・。
ならば倒せるか?
今の自分で・・?
どう考えても、誰が見ても、今の自分の状況は絶望的だろう。
まさか、今の状態から、危機を脱すること事の出来る、超人的な輩などいる筈もないし、
それが自分の筈もない。
死刑を前にした服役囚は、きっとこんな気持ちなんだろうな・・。
そう言えば、バスターのエネルギーが一撃分残っていた気がする・・。
しかし・・止めた。
今の状態で放ったら、どう言う状況に陥るか、自分でもよくわかっているからだ。
「死ねぇぇぇぇ!!」
瞬間、閃光が迸った。
ホワイトアウトする視界の中・・意識だけは、鮮明に色を保っていた。
時間が経つのが、やけにゆっくりに感じる。
たった数秒の出来事が、まるで何時間も、何年も時の流れに置いていかれた様だ。
まだ少ししか積んでいない・・それなのに大切な思い出が、一斉に頭の中を爆走する。
死ぬ・・・。
たった二つの文字が、頭の中全体を支配した。
・・・・轟音。