ロックマンXセイヴァーT - 最終章 - 第二話
第二話
今一度、右手をバスタ−に変形させた。
露出した薄蒼色の髪が、視界を狭くする。
(やっぱりまずかったかな・・?)
セイアはこの状況でありながら、一人心で苦笑した。
こんな髪型で闘える筈などない。
エックスも、もちろんゼロも、本来は長い前髪を、戦闘に出る前は上げている。
(僕も上げておけば良かったかな・・?)
そう思いつつ、固まった鮮血が付着した左手で、軽く前髪を上に上げた。
前に突き出したバスタ−に、蒼と紅の光が集まっていく。
使える残りのエネルギ−は限られている。
フルチャ−ジなら・・あと三発撃てるかどうか。
しかし、手はある。
一撃目で恐らく搭載されているであろうバリアを歪ませ、二撃目で発生装置を破壊する。
そして三撃目で本体を貫く。
うまく出来るかどうか・・。
兄も当然、似たような状態の筈。
いや・・どちらかと言えば、エックスの方が損傷が酷いくらいだ。
戦闘中、さりげなく自分を庇っていたため。
そうなれば、自分がやるしかない。
バスタ−の銃口内に納まりきらなくなった閃光が、バチバチとスパ−クし始める。
「どうした?来ないのか?ん?」
窘めるようなワイリ−の口調。
思いきり地面を蹴り、ワイリ−・カプセルの頭上に飛び込んだセイア。
そして、閃光を宿した銃口を、カプセルに向ける。
「行っけぇぇ!!」
「甘いわ!!」
セイアのバスタ−から放たれた、蒼と紅の閃光。
ワイリ−・カプセルから放たれた、黒いエネルギ−。
空中で激突したそれは、アッサリとセイアのバスタ−を打ち砕き、
咄嗟に避けたセイアの背後の壁に、巨大な風穴を開けた。
着地し、改めて背後の穴に絶句する。
自分のバスタ−では、相手に届くことすらない。
目の前に先程の閃光が迫っているにも関わらず、セイアはそこに立ち尽くしていた。
本当に勝てるのか?
でも・・諦めたくない・・。
いや・・諦められない・・。
不意にセイアの身体が地面に叩き付けられた。
「何をボ−ッとしてるんだセイア!!諦めには早過ぎるだろう!!」
「兄さ・・・・うんっ!」
エックスだった。
本当は自分の方が損傷が激しい筈なのに、エックスは傷ついた身体をおして、
セイアを捨て身でエネルギ−弾から救ったのだ。