ロックマンXセイヴァーT - 最終章 - 第十一話
第十一話

「セイア・・オレは・・。」
「えっ・・?」
不意にゼロが口を開いた。
振り返ったゼロの瞳は・・悲しかった。
「オレは一緒にベースに帰ることは出来ない。」
「どうし・・て・・?なんで・・ゼロ兄さ・・ん?」
「理由を話すことは出来ない・・。」
剥き出しになった生身の腕で、ゼロはセイアを抱き留めた。
「すまないな・・。セイア・・。オレは駄目な兄貴だったな・・。
今日会ったのが初めて・・。そして、またこれから別れる・・。
エックスの様に・・兄貴らしい事は一つも出来なかった。
すまん・・。」
「う・・ううん・・。お兄ちゃん・・僕は・・。
僕は・・会えないと思ってたゼロ兄ちゃんに逢えただけで・・充分だよ・・。
さようなら・・。また今度・・いつか帰ってきてくれるよね?」
少し名残惜しそうに、セイアはゼロから身を離した。
そして、瞳が潤みそうになるのを、最後の崖っぷちでなんとか抑えた。
ここままお別れじゃ、あんまりにも悲しすぎたから・・。
「あぁ・・約束は出来ないが・・。」
「信じてる・・。待ってるよ・・。」
一瞬だけ、お互いの顔を確かめ合うと、二人は同時にそれぞれの方角に身を翻した。

もうこれで・・僕は事実上、最後のROCKMANとなってしまった。
ROCKMANの記憶を持ち、現代に生きる、最後の・・。
でも・・それでも僕は、まだ“セイア”なんだ。
絶対に誰かに支えてもらわなきゃ生きていけない・・セイアなんだ。
だから兄さん・・どこででもいいから、見ていてよ・・。
僕・・“セイア”が、いつか“ロックマン・セイヴァー”として、貴方の意思を継げる時を・・。
だれがなんて言ったって、僕は兄さんの弟なんだ・・。
エックス兄さんとゼロ兄さんの弟なんだ・・。
例え、Dr.ライトとDr.ワイリー、対立する二人の最高傑作の血を引いていたって・・。
きっと迷う・・。
これからも迷う・・。
迷って迷って・・兄さん達みたいに、自分の道を切り開いてみるよ。
『正義』なんてカッコつけた事は言わない。
だって・・世界のどんな人も、自分だけの『正義』を持っているのだから。
エックス兄さんは『人々の笑顔を護るため』。
ゼロ兄さんは『もう大切な者を失いたくないから』。
・・ワイリーだって、きっと何かがしたくて、世界征服なんてしようと思ったんだと思う。
レプリロイドを・・ロボットを心から愛していた彼なんだから・・。
みんなの正義を護ることなんて、きっと僕には出来ない。
いや・・多分・・世界中のどんな人だって、そんな事は出来ないんだ。
だから僕は、目の前の範囲だけでも、護りたい人たちを護っていきたい。
ふふ・・『友達を護りたい』。
たまにはカッコつけてみてもいいよね・・。
だよね・・兄さ・・・。
もう・・こんな事・・起こんないよね・・?
もう・・誰・・も・・失・・い・・たくなんか・・ない・・。
護れなか・・・ったんだ・・。
護り・・たかったのに・・・。
ねぇ・・お兄ちゃん・・。もう少しだけ・・弱い僕でいていいですか?
泣きたい時に泣く・・泣き虫な僕でいいですか・・?
そして・・僕が道を誤ったとき・・天国から叱咤してくれますか・・?
いつまでも・・見守っ・・・て・・いて・・よ・・。
今の・・ぼ・・くは・・あんまりにも・・寂しすぎるから