ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第八話
第八話

未だに頭がボンヤリとしている・・。
過去と現代の自分は統合された。
過去の「ROCKMAN」としての自分と、現代の「ロックマン・エックス」
そして「ロックマン・セイヴァ−」としての自分。
「ふん・・ようやく思い出したようだな・・。
ROCKMAN・・。」
老人は、ブンブンと頭を振る二人に向かって、口の端だけを上げる笑みを浮かべた。
そして、エックスよりも先に意識を覚醒させたセイアは、一瞬の驚愕を覚えた。
目の前にいる老人と、蘇ったばかりの記憶の中の人物の姿が一致したからだ。
「ま・・まさか・・まさか貴様は・・。
Dr.・・ワイリ−・・?」
呟くように問うと、老人は答える代わりに、再び口の端を上げた。
「ワイリ−・・!!」
バスタ−を老人・・いやワイリ−に向け、戦慄するエックス。
「何故だ・・?何故・・!!
お前は・・お前は生きてるはずなんか・・。」
当たり前だ。
Dr.ワイリーは百年前の人物。
しかも、その時点で既にかなりの高齢だったはず・・。
なのに・・何故?
ワイリ−は、無言で自分の脇のカプセルを指さした。
「・・・?」
目を細め、改めてカプセルの中身に視線を走らせる。
緑色の液体で満たされたカプセル。
浮かんでいるのは、脂ぎった豆腐のような物体・・。
見たことがある・・。
いつだっただろう?
必死に記憶の端っこを掘り返してみる。
「・・なっ・・まさか・・!」
「なに?なに・・兄さん。」
「まさか・・貴様・・!!」
右手で口元を覆う。
その顔色は、セイアから見ても明らかに青い。
「そうじゃ・・ワシの・・脳じゃよ。」
『!!?』
「貴様と相打ちになったゼロ・・あやつを修理していたときじゃ・・。
ようやく修理が終わり、あやつを起こした瞬間・・ワシはあやつに・・。
死ぬ寸前・・以前造っていた、医者型ロボットに、ワシの脳を摘出させたのじゃ。
もはや!ワシの目的は世界征服ではない!!
ROCKMAN!貴様に復讐することじゃ!!」
明らかにおかしい・・。
セイアはそう悟った。
自分がロックだった時も、彼は悪の心を持っていた。
しかし、それ以上に非常に人間らしい一面もあった。
確かにワイリ−の立場から見れば、自分達は憎むべき敵だろう。
しかし、その異常な執着心はどこから来るのだろう?
「ワイリ−・・いいだろう!!来い!相手になってやる!!
そして・・総ての闘いを終わりにしよう・・!!」
エックスは静かに、それでいて確かな口調で、己のバスタ−をワイリ−へ向けた。
ワイリ−は、不気味に笑うと共に、サッと片手を上げた。
それに反応し、ワイリ−の背後から、ドクロの装飾品をつけた戦闘機が、
壁を派手に破壊し、出現した。
ワイリ−は、元人間とは思えないほどの跳躍力でそれに乗り込んだ。
戦闘機は、そのドクロの両目を不気味に発光させた。
「ワイリ−・マシン・パ−フェクト・・覚悟しろエックス!セイア!」
ワイリ−が叫ぶと共に、ドクロの両目から、超出力のエネルギ−弾が、
一発・・二発・・三発。
「っ・・レイ・スプラッシャ−!!」
セイアは、直進してくるエネルギ−弾を、ジャンプで飛び越え、
当然のように追尾してきたそれを、黄金のマシンガンで相殺した。
そして、その間にファルコン・ア−マ−を転送したエックスが、
既にチャ−ジしていたバスタ−を、ワイリ−・マシン目掛けて、一気に放った。
「喰らえぇぇぇ!!」