ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第七話
第七話

いつからだっただろう・・?
俺・・いや僕は、世界で初めて『心を持ったロボット』を生み出した天才科学者ト−マス・ライト博士によって、
家庭用お手伝いロボット『ロック』としてこの世に生を受けた。
博士や・・妹のロ−ルと一緒にくらす毎日は、とても幸せだった。
でもね・・そんな幸せも、長くは続かなかったんだ・・。
ある日突然・・僕の兄弟であるロボット達が、人類に反旗を翻し、街を破壊し始めた。
悪の科学者アルバ−ト・W・ワイリ−博士によって、兄弟は改造されていたんだ・・。
もはや軍や警察なんかが敵う相手じゃなかった・・。
どうすればいい・・?
僕はただ黙って見ているだけなのか?
ううん・・それは出来なかった。
気がついたら、僕はライト博士に、
「僕を戦闘用に改造してください!!」
と叫んでいた。
別に悔いはなかった・・みんなの平和を勝ち取りたかったから・・。
平和を象徴する蒼い鎧を着て、僕は戦地へと旅だった。
僕は「ロックマン」になったんだ。
闘いは辛かった・・。
何度挫けそうになったことか・・。
それでも僕は・・なんとかワイリ−の所まで辿り着いて、
彼の野望を阻止した。
やっとこれで平和になるんだ・・。
でも・・それで終わりじゃなかった。
それから幾度となく、僕はワイリ−と闘った。
何度も何度も何度も何度も何度も。
いつしか僕の名前は、家庭用ロボット「ロック」としてではなく、
戦闘用ロボット「ロックマン」として、世間に知れ渡っていた。
そして・・数えて十回にも及んだワイリ−の世界征服の野望を打ち砕いた後・・
一旦、世界は平和になったかと思われた。
でも・・ある日ワイリ−は、見たことも無い紅いロボットを連れて、僕に闘いを挑んできた。
ロボットの名は「ゼロ」・・世界初の「進化するロボット」。
僕は全力で応戦した。
最初は僕が優位に立っていた・・でも・・ゼロは闘えば闘うほど強くなっていった・・。
それでも僕は・・なんとかゼロを相打ちに持ち込んで・・。
悔いはなかった・・みんなの平和勝ち取りたかったから・・。

大破した僕は・・ライト博士に回収されて、新たな技術を持って生まれ変わった。
僕・・俺は「ロックマン・エックス」として・・。
後世で何かが起こったときの救世主として、俺はカプセルに封印された。

カプセルを見つけたのは、21世紀の天才科学者ジェ−ムス・ケイン博士だった。
封印状態のまま彼に発見された俺は、なんとかケイン博士の解析によって封印から醒めた。
その時、なんらかの理由で記憶を失っていたけれど・・。
思えば・・その時記憶を失ったからこそ、今の俺がいるんだと思う。
百年前の宿敵・・ゼロもまた、「赤いイレギュラ−」として捕獲され、
ハンタ−への道をたどった。
そして出会った俺達は・・自分達の生い立ちも知らずに、無二の親友となり、
その絆の深さによって、何度も世界を危機から救った。
・・・皮肉な話しだ・・。