ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第六話
第六話

「大丈夫か・・?ロックマン・セイヴァ−・・セイア・・だったな?」
ゼロはセイアを優しく抱き起こし、そう言って微笑した。
「初めまして。オレはゼロ・・お前のもう一人の兄・・って事になるか?」
「あ・・ゼロ兄さ・・どうして・・?」
ようやく声が出た。
他にも色々と聞きたいことはあった。
しかし、今はなにより、彼がどうしてここにいるのかが知りたかった。
それに、ゼロについて、エックスは「ユ−ラシア墜落事件の時から行方不明」と聞かされていた。
「でも・・信じてるんだ。きっとゼロはどこかで生きてるって・・。」
そう言った兄の顔が忘れられなかった。
なんとか立ち上がったのか、エックスが小走りに走り寄ってきた。
「ゼロ!ゼロ・・!生きてたんだ・・。」
「当たり前だろ?大体・・シグマごときにやられてたまるかよ。
・・まっ・・オレ自身どうやって復活したかなんてわからねぇよ。
気がついたら動けるようになってたんだ。」
ゼロは、そこまで言うと、肩のセイバ−を抜き放ち、
吹き飛んだシグマに視線を向けた。
「ゼロ兄さん・・?」
「感動の対面はここまでだ・・。シグマはオレが引きつける。
その間に、エックス・・セイア、お前達はあのジジイをなんとかしてくれ。」
ゼロは言い終わる前に、飛びかかってきたシグマに剣撃を浴びせ掛け始めた。
セイアとエックスは、深く頷くと、瞬間的なダッシュで、
部屋の隅に立っている、白衣の老人に立ちはだかった。

「ふん・・ゼロ・・か・・まさかオリジナルが生きているとはな。
まぁいい・・今ごろ奴など用済みなのじゃからな。」
老人は、視線の先で剣を振るう、紅き闘神に対して、
忌々しそうに呟き、口の端を上げた。
「まぁ・・今はそれよりも・・。」
老人の視線がセイアとエックスに向けられる。
充血したような赤い瞳からは、シグマを越える”何か”を感じとることが出来た。
「も・・もぉ逃げられないぞ!!」
セイアは叫ぶと同時に、足元に転がっていたサ−ベルの柄を拾い上げ、
光剣を発生させた。
「エックスの弟・・ロックマン・セイヴァ−・・。
そしてロックマン・エックス!・・ハッキリ言ってガッカリしたぞ?」
「なに・・?」
エックスは目を細めた。
「たかがシグマ程度にあそこまでてこずるとはな・・。
残念じゃよ・・ROCKMAN・・。」
「ロック・・マン・・?」
違う・・彼の言っているROCKMANは、
自分達の名前のロックマンじゃない・・。
伝説のレプリロイド・・ROCKMANの事・・。
「まだ判らないか?ふっ・・判らないじゃろうて・・。
記憶を封じたのか?まぁいい・・。
このままの貴様たちを殺すことも出来るが、
それではワシの気が済まん!
今・・貴様等の記憶を取り出してやろう・・。」
その瞬間、老人の両手から放たれたエネルギ−球が、
防御する暇もなく、二人を拘束した。
『なにっ・・?うぁぁぁぁぁ!!』
凄まじいエネルギ−の流れと共に、二人の頭にある映像が走った。