ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第四話
第四話

「うぉぉぉ!!」
怒りを露にし、エックスはセイバ−を抜き、降下様に振り下ろした。
しかし、その剣撃が、シグマの身体を斬り裂くことは無かった。
素早くバトル・アクスを手にしたシグマが、ゼット・セイバ−を柄ごと吹き飛ばしたからだ。
カラァンと言う乾いた音を立てて地面に落下するセイバ−の柄。
「くっ・・・。」
縦斬り・・横斬りと迫ってくるアクスを避け、
エックスはバスタ−を向け、連続的に放った。
ダメ−ジを与えるつもりは無い。
シグマの注意を、セイアから自分に向けさせるためである。
不意にシグマの眼部に光が宿った。
やばい!
思った瞬間には、それは一筋の光となり、エックスに迫っていた。
ギリギリで回避したものの、右肩のア−マ−を削り取られた。
次は躱せない・・。
エックスが覚悟を決めた瞬間、突然シグマが大きくバランスを崩した。
起き上がったセイアが、不意にシグマに足払いをかけたからだ。
一瞬の隙が生じた。
「「今だ!!」」
「滅閃光!」
「トライア−ド・サンダ−!!」
拳に宿したエネルギ−・・滅閃光と、
瞬間的にチャ−ジを完了し、出力を増したトライア−ド・サンダ−が、
直接的にシグマの身体に流し込まれた。
「やっ・・・っ!?」
ズン・・と言う、何とも言えない衝撃が、
セイアの背中を走った。
「なっ・・?」
激痛が走る。
鮮血が滲む。
セイアの背中に、シグマのバトル・アクスが突き立てられたからだ。
「くっ・・うぁぁぁぁ!!」
思い出したような悲鳴が辺り一面に響く。
セイアは、背中を押さえる姿勢で膝を突いた。
「シグ・・マ・・貴様・・!!」
エックスのバスタ−にエネルギ−が収束していく。
それを確認したシグマは、邪悪な笑みを浮かべると共に、
セイアの背中からバトル・アクスを引き抜いた。
「うぉぉぉ!!」
一直線に放たれた蒼い閃光。
一片の狂いも無い正確な射撃ではあったが、
それはいちも簡単にシグマに叩き落とされ、多量の煙を発生させた。
そして、その瞬間には、既にエックスの姿はなかった。

「っ・・くそぉ・・。」
出血は止まった。
幸い、ア−マ−が頑丈に造られていたため、軽傷ですんだが、
ノ−マル状態で受けていたら、命は無かっただろう。
サ−ベルを地面に突き刺し、それを杖にして立ち上がる。
そして、眼前の攻防に視線を向ける。
素早い剣撃、拳・・蹴り。
エックスにとって、接近戦は余り得意分野では無いはずだ。
しかし、そんな事はセイアも百も承知。
シグマのアクスの様な武器を持つ者に対して、射撃攻撃は無力に近い。
無論・・シグマの様な手練が相手の時の話だ。
しかし、接近攻撃ならば、その巨大さ、リ−チの長さゆえに、
どうしても隙が生じてしまう。
エックスは、そこを狙っているのだ。
「っ・・兄さ・・。」
セイアのバスタ−に、蒼と紅の光が収束していく。
そして、完全に膨張しきったバスタ−の狙いを、
シグマに定めた。