ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第二話
第二話

そして、エックスの脳裏には、ユ−ラシア墜落事件時にシグマが言っていた、
“素晴らしいパ−トナ−”と言う言葉が蘇った。
「まさか・・貴様・・あの時・・シグマに・・!!」
「フフフ・・その通りじゃ。シグマを使って貴様を殺し、
ゼロを覚醒させようとしたんじゃがな。
所詮はオモチャ。余興に過ぎない。
ただの役立たずじゃった。」
そう言って老人はニヤリと笑った。
その目には、あのVAVAをも凌ぐ狂気が宿っている。
「じゃが・・奴の全デ−タはコピ−済みじゃ。
もう少し役に立ってもらおうか?出るのじゃシグマ!!」
老人が右手を振り上げると同時に、背後の暗闇から、
一体の人影が出現した。
印象的なスキンヘッド。
目から鼻にかけての青いアザ。
「これが・・シ・・グマ・・?」
話しには聴いていたが、その余りの威圧感に緊張を隠しきれていない。
でも・・倒さないと。
セイアは咄嗟に身構えた。
しかし、その瞬間には既にシグマは、セイアの視界から消え去っていた。
「っ!?」
危なかった。
途轍も無い速さで繰り出されたシグマの攻撃を、
なんとかサ−ベルで受け止めることが出来た。
しかし、それがやっとだった。
余りの重さに両手がブルブルと震えてしまう。
「くぅ・・うぅ・・はぁぁぁ!!」
直ぐ様バランスを崩させ、超高速のパンチラッシュを浴びせ掛けるセイア。
しかし、次の瞬間には、セイアの腹部に鈍い衝撃が走っていた。
気がつくと、エネルギ−の宿ったシグマの拳が、
セイアのみぞおちに直撃していたのだ。
「ぐっ・・・げほ・・。」
力無く膝を突き、咳き込むセイア。
ア−マ−の上からだとは言え、内臓にかなりのダメ−ジがあったのか、
口元を抑えていた掌が、真っ赤な血の色に染まっている。
今のセイアは無防備だ。
しかも、シグマがこの隙を逃す筈などない。
シグマは、背中に装着されていた、大型の斧を抜き、
大きく振りかぶった。
−やられる・・。
恐怖の余り、目を瞑った瞬間。
「あぁぁぁぁ!!」
「ほぉ・・。」
バチィィンと、エネルギ−の中和された音が、辺り一面に響いた。
エックスは、自らを拘束していたリングを、無理矢理に引き剥がしたのだ。
「マグマ・ブレ−ド!!」
肩に収納してある、ゼット・セイバ−を抜くと、
その刃は、いつもの蛍光色のエネルギ−ではなく、
灼熱の焔に変わっていた。
シグマは、標的をエックスに変え、バトル・アクスを振り下ろした。