ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第十二話
第十二話

「ハァ・・ハァ・・くっ・・。」
蛍光色のセイバ−を握りしめた紅い影。
巨大な斧を振りかざした紫色の影。
先程から、その二つの凄まじい攻防が、数十分に渡り繰り広げられていた。
しかし、総ての武装、ラ−ニング技を使用して立ち向かったゼロだったが、
戦況は未だに武装がバトル・アクスしか無い筈のシグマが有利だった。
「くっ・・うぉぉぉぉ!!」
荒い息を無理矢理に整え、ゼロは吠えた。
左手をバスタ−へ変形させ、目の前のシグマへ向けて、連続的に放つ。
シグマは、放たれたそれを、全て右手一本で掻き消し、
左手のアクスを振り下ろした。
リ−チは完全に届いていない。
しかし、アクスの振りが巻き起こした、エネルギ−の波、衝撃波と呼べるモノが、
ゼロのア−マ−を、バタ−の様にアッサリと斬り裂いてみせた。
「っ・・ぐぁぁ!!」
短い悲鳴を上げ、ゼロはその場に膝を突いた。
ア−マ−の胸部が、右肩から左腰にかけて斬り裂かれている。
余りの切れ味に、損傷はア−マ−を突き抜け、生身の身体にも及んでいる。
右手で傷口を抑えつつ、フラリと立ち上がるが、
闘いのダメ−ジと出血によって、意識が朦朧としてしまっている。
セイバ−を地面に突き刺し、左手のバスタ−を構える。
そして、エネルギ−を放とうとした瞬間。
ドン・・と鈍い衝撃が、ゼロの左手を走った。
左手のバスタ−が暴発したのだ。
当たり前だ。
この激戦の中、出力以上のエネルギ−を、何千発と放っているのだ。
その余りのエネルギ−環境に、例えゼロの身体とてついていくはずが無い。
「ぐぁっ・・くっ・・。」
カラァン・・と右手のセイバ−が滑り落ちた。
そして、代わりに、空いた右手で左腕を握りしめる。
シグマは、ゼロのその様子に、心底邪悪な笑みを浮かべ、
わざとゆっくりとした動作で歩み寄ってきた。
一思いにアクスで斬り裂けばいいモノを・・。
シグマは、それをせず、自身の拳でゼロを殴り飛ばし、倒れ込んだゼロを左足で踏みつけた。
既にダメ−ジが限界に達していたゼロのア−マ−に、
音を立てて亀裂が走る。
抵抗しようにも、もうシグマの足を振り払うことも不可能だ。