ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第十三話
第十三話

−−−オレは・・オレは・・。
不意に意識が遠ざかっていく。
恐らく、次に気を失ったら、もう二度と目を覚まさないだろう・・とゼロは密かに確信していた。
−−−オレは・・何をしているのだろう・・?
一体自分は何のために生まれた?
それは・・ワイリ−が宿敵ROCKMANを破壊する。
それだけの為。
−−−一体オレに何が出来たんだ・・?・・アイリス・・。
記憶の片隅で頬笑む少女。
答えが返ってこないと判っていても、ゼロは自問し続ける。
−−−すまない・・アイリス・・オレは・・。
彼女との最後の時間が頭を過る。
彼女が絶命する寸前・・自分に呟いた言葉・・。
あれは・・一体何だったのだろう?
−−−オレは・・。

「オレ達レプリロイドは・・結局みんな・・イレギュラ−なのか!!?」
第四次シグマ大戦。後に「レプリフォ−ス大戦」と呼ばれる事件。
元凶のシグマを倒し、総監ジェネラルが命をかけて地球への攻撃を阻止したスペ−ス・コロニ−。
崩壊していくコロニ−の中から、なんとか脱出ポッドを見つけ出し、
地球へと帰る、冷たい宇宙空間で、ゼロは一人自問していた。
「なんで・・どうしてこうなっちまうんだよ!!?」
その問いに優しく答えてくれる者はもういない。
「結局・・誰も護れなかったんだ・・アイリス・・。」
数時間前、自らが葬った少女を想う。
−−−彼女が何をした?
ただ・・平和を望んでいただけ・・。
−−−なぜオレは殺すことしか出来なかったんだ・・?
あの娘がイレギュラ−だったから・・?
−−−そうか・・イレギュラ−なんだ・・。
そう言って納得させた。
誰でもない・・自分を・・。
−−−でも・・あの娘は誰も殺しちゃいないし、傷つけてもいない・・。
   オレに刃を向けただけ・・そうだろう?
彼女は最後・・なんて言ったのだろう・・?

−−−一緒に・・レプリロイドだけの世界で暮らしましょ・・?
そんなものは幻・・幻なんだ・・!
−−−ふふ・・そうよね・・でも・・信じたかった・・。
アイリ・・ス・・。
−−−ゼ・・ロ・・わた・・のぶ・・きて・・。

『ゼロ・・私と兄さんの分まで生きて・・』
それが、彼女の残した最後の言葉。
「あぁ・・約束するよアイリス。オレは・・。」
そっと呟き、ゼロは眼を閉じた。