ロックマンXセイヴァーT - 第参章 - 第十話
第十話

凄まじい回転を施したフロスト・シ−ルドと、灼熱の業火は、音を立てて空中で激突した。
最初は互角に思えた出力であったが、除々にフロスト・シ−ルドに亀裂が走り、
次の瞬間、砕け散ると共に蒸発してしまった。
「ショットガン・アイス!!」
勢いを緩めずに直進してくる炎弾に向け、避けきれないと判断したセイアは、
直ぐ様、氷の散弾で迎撃したが、
「なっ・・うぁぁぁ!」
何の障害もないとでも言うように、アッサリとショットガン・アイスを打ち消した炎弾は、
跳躍で回避しようとするセイアを尻目に、彼の身体をその灼熱の炎で包んだ。
「フロスト・タワ−!」
一方エックスは、炎に身体を包まれながらも、すぐに巨大な氷柱を発生させ、それを打ち消した。
「ハァ・・ハァ・・マグマ・・ブレ−ド!!」
ゼット・セイバ−を抜き、灼熱の刃を収束させる。
そして、持ち前の瞬発力で、瞬時にワイリ−・マシンの眼前に出現したエックス。
「無駄じゃと言うに!!」
ガチャリとマシンの一部に搭載されている、何かの射出機の様な機械が、向かってくるエックスに向けられた。
そして、一瞬の溜めの後、常識では考えられないほどの出力で、一本の巨大なレ−ザ−を放った。
「!?」
斬り付ける瞬間に、飛び上がっていたのが運の尽きだった。
空中では方向回避すらする事が出来ない。
いや・・もしこれが地上だとしても、この一瞬では、例えエックスでも回避できなかっただろう。
声を上げる暇もなく、エックスの身体は、緑色の閃光に包まれていた。
しかし、次の瞬間、閃光の中のエックスの姿が、瞬時にして掻き消えた。
「えっ?・・。」
エックスと同様、フロスト・タワ−で炎を打ち消したセイアは、突如として姿を消した兄に、
小さく声を上げた。
「なんじゃ!?」
「灯台下暗し・・ってね・・喰らえ!!」
強威力のバスタ−発射音が、セイアの耳を打った。
掻き消えた兄の姿を、軽く頭を振りつつ探索すると、エックスはワイリ−・マシンの丁度死角となる、
真下にバスタ−を上に向ける形で立っていた。
エックスは、レ−ザ−が放たれる直前に、ソウル・ボディによって創った自らの分身と、
密かに入れ替わっていたのだ。
放たれたバスタ−は、バリアの張られていない、無防備のワイリ−・マシンに直撃し、
先程、エックスに向けて放ったレ−ザ−の射出機を、モノの見事に粉砕してみせた。
「ぬぅ・・小癪な!」
スピ−カ−から響く、ワイリ−の声は怒気を孕んでいる。
次にマシンが放ったのは、バリバリと電撃を帯びたエネルギ−弾。
弾速が凄まじい。
「!?しまっ・・。」
「フルム−ン]!!」
今まさに直撃しようとする電撃弾は、咄嗟に放たれたセイアのフルム−ン]が、
横に押し込む形で弾道を曲げてられていた。