ロックマンXセイヴァーT - 第弐章 - 第五話
第五話

サ−ベルの柄を放り捨て、右手の拳を握った。
セイア得意の肉弾戦・・だ。
ドガガガガガ
途轍も無いスピ−ドで繰り出されるセイアのラッシュ。
それを残像すら残しながら回避していくVAVA。
「どうした!?貴様エックスと同等・・いやそれ以上だと思っていたがな!
エックスならば、後三発は多く入れているぞ!」
ドガァ
回し蹴り。
見事にクリ−ンヒットし、セイアの身体は後方へ押し戻された。
「ハァ・・ハァ・・くそぉ・・。」
荒い息を整えながら、近くに落ちているサ−ベルを拾い上げる。
そしてエネルギ−を収束させ、構える。
「ふん・・そんな実力でエックスを助けられると思っているのか?」
 ドクッ
「今のお前はエックスにもゼロにもなれない。」
 ドクン
「所詮お前は紛い物だ!」
「・・けるな・・。」
「ぬ・・?」
「ふざけるなぁぁ!!」
セイアはサ−ベルを掲げ、猛スピ−ドで突進していった。
違う・・!
自分はコピ−なんかじゃない!

それは・・自分が生まれてまだ一週間の時だった・・。
ズバァ
トレ−ニング兼ハンタ−ランク測定マシンのホログラフを、
いとも簡単に真っ二つにしたセイア。
ビ−
ハンタ−ランク・・SA
「ふぅ・・疲れた・・。」
トレ−ニング室から出、ア−マ−を外す。
すると、十七部隊の隊員の一人が走り寄ってきた。
「あの・・エックス隊長の弟さんの・・セイヴァ−さんですよね?」
「えっ?・・あっ・・うん。」
突然尋ねられ、しどろもどろになりながらもそう返した。
「凄いですね!生まれて一週間なのに、ランクSAだなんて。」
少々興奮気味に話す隊員。
セイアはポリポリと鼻の頭を掻いている。
すると、もう一人身体の大きいレプリロイドが歩み寄ってきた。
戦闘スタイルは恐らく接近型だろう。
強化のため大型化された両腕と、防御力の強さを物語る鎧。
「やめとけやめとけ!ソイツはエックス隊長とゼロ隊長のDNAで創られたんだ。
強くて当たり前だろ?」
「っ!?」
「良いよな?何の苦労もしないで最初から強いヤ・ツ・は。
まっ・・所詮エックス隊長とゼロ隊長のコピ−なんだから、
せいぜい平和を護ってくれや!」
そう言い残し、レプリロイドは去って行ってしまった。
そう・・セイアは一部のハンタ−達から、
異様なまでに忌み嫌われている。
エックスとゼロのDNAを持っているから・・。
強くて当たり前・・。
コピ−・・。
「あの・・セイヴァ−さん?・・あんなの気にしない方がいいですよ?」
「・・。」
「幾らエックス隊長とゼロ隊長のDNAを持っているからと言って、
それイコール強いとは限りませんよ。
それに・・セイヴァーさんはコピ−なんかじゃありませんよ。
エックス隊長・・ゼロ隊長よりも良い所は、セイヴァ−さん・・
一杯持っている筈ですよ?」
「・・ありがとう・・。」
セイアはそう言い・・笑った。
そうか・・自分はコピ−なんかじゃないんだ・・。
自分は・・”自分”なんだ。