ロックマンXセイヴァーT - 第壱章 - 第十四話
第十四話
「お・・おい徳川・・。ロックマンの血って・・?」
フレッドがゆっくりと歩み寄る。
「・・・・・。」
セイアは無言で振り返る。
「みんな・・僕のせいでこんな危険な目に遭わせてしまって・・本当にゴメン。
でも・・僕は行かなくちゃいけないんだ。
僕の兄”ロックマン・エックス”を助けるために・・。」
言ってしまった。
自分がエックスの弟で有ることを・・。
「ハ・・ハハ・・冗談じゃないよ。
なにが徳川 健次郎だ!ふざけるのも大概にしろよ!
お前なんかがいたら・・俺達が危険じゃねぇか!」
クラスの中の一人の男子・・先日、フレッドと行動を共にしていた「バシュ−ト」が叫ぶように言い放つ。
セイアは・・ただ俯くことしか出来なかった。
「あんた・・。」
クリスが男子に歩み寄り・・
パァァン
思いきり頬を張った。
「・・・・。」
男子は張られた頬を抑えて、驚愕の表情を浮かべている。
「だってそいつは・・。」
「いい加減にしなさい!!」
クリスが叱咤する。
「徳川君はね・・私を命賭けで助けてくれたのよ?
もしそれがあなたでも・・そう言うことが言える?」
「クリス・・。」
クリスのその行動に、セイアは嬉しかった。
一人でも自分に味方してくれる人がいてくれることが・・。
「そうだ。徳川はなぁ・・。友達でもなかった俺の為にサトシに立ち向かっていったんだぞ!?
徳川。お前がエックスの弟だろうと何であろうと・・俺に・・俺達にとっては、
お前は徳川 健次郎以外の何者でも無いぜ?」
フレッドが優しく頬笑む。
「そうだ!」
「そうだよ!!」
その言葉に、クラス全体が同意の声を上げる。
「クリス・・フレッド・・みんな・・。」
セイアの目から、一筋の涙がこぼれ落ちる。
「ありがとう・・じゃあ・・行ってくるよ。」
セイアは涙を拭い去ると、開け放たれた窓に足をかけた。
「必ず戻ってこいよ!今度は勝つからな!」
「ああ・・。約束する!」
セイアは、ビシッと親指を立てると、ZーY13地点へと向かった。
「なんで・・。」
教室の隅では、バシュ−トが殴られた頬を押さえ、床にうずくまっていた。
第弐章 前編 第一話へ