その夜、コ−ドは自分の部屋で、空を眺めていた。
「・・・・・」
しかし星は見えない。
地球の大気汚染の影響で、星が見えなくなっているのだ。
「・・・・・・」
コ−ドの視線が廃墟となった街に注ぐ。
数百年前なら、辺り一面に花と緑が咲き乱れていたであろう大地は、
赤く乾いた土しか残っていない。
「・・・地球の汚染か・・・」
そう、コ−ドは短く呟いた。
「フラットの・・・言うとおりかもな・・・」
ギィィ
「?」
コ−ドがそう呟いたとき、何者かが扉を開けた。
「・・・ヒカル・・・・・?」
そこに立っていたのは、茶色の髪の少女。
「あ・・ごめん・・・起こしちゃった?」
ヒカルと呼ばれた少女は、あどけない表情でそう言った。
「ううん・・・ただ・・・空を眺めてただけなんだ・・・」
そう言うコ−ドの視線は、漆黒の空に向けられた。
「私も・・・眠れなくて・・・」
ヒカルはそう言うと、窓辺に寄り、コ−ドと共に空を見上げた。
「星・・・見えないね・・・」
小さくコ−ドが呟いた。
「私・・・生まれてから。プラネタリウム以外で・・星・・見たことないんだ。」
大体そうだ。その時代の人間は、天然の空で星を見ることが出来ないため、
プラネタリウムを主に利用しているのだ。
「そう・・・」
そして、暫く静寂が走る。
「私・・・時々思うの・・・私達人間・・そしてレプリロイドに宣戦布告をした、
あの・・「ロックマン・フラット」って言う人の言ってること・・・
間違いじゃないのかも・・って。」
次の瞬間、コ−ドの視線が、ヒカルに向けられた。
「でもね・・それでも「人間とレプリロイドを全滅させる」なんて、
絶対に間違ってると思う。
壊すことじゃなにも生まれない・・・人類のため・・レプリロイドの為・・そして・・
地球のために、今なにをすればいいのか、考える事が大切だと思うの。
あっ・・なんか説教臭くてごめんね。」
そう言うヒカルの瞳には「誠の真剣さ」が宿っていた。
「・・・いや・・・大丈夫さ・・・人間もレプリロイドも滅びたりなんかしないよ。」
{必ず守ってみせる}そう・・コ−ドは頭の中で呟いた。
「いつか・・・みんなで・・・蔓延の星空を見れるといいね・・・
 その時は・・・輝君・・一緒にいてくれる?」
「あぁ・・・約束する・・・・ヒカル・・・」
コ−ドは小声でヒカルの名を呼んだ。
「え?」
「・・ヒカル・・・俺は・・君を・・・護る。」
”あぁそうか・・・あの時感じた感覚はこれだったのか・・・
 これで決心がついた・・・僕は・・・必ず・・・人間を・・レプリロイドを・・・
 護りきってみせる・・!”

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